テロとイスラム

2014年4月に自由シリア軍に拘束された湯川遥奈は、ジャーナリスト後藤氏の交渉により一度は解放された。その後は自由シリア軍から同志として迎え入れられたという。

こうして無事に解放されたにも関わらず、同年8月に今度はISISに拘束されたことが非常に不可解で理解に苦しむ。まるで自ら火に飛び込んだ虫のようだ。それから5ヶ月、今回の安倍政権への警告ビデオでさらなる謎を呼ぶ。「なんとしても湯川氏を救う」として後藤氏が後を追うも同じく拘束、事態は混迷を極める。

▼日本側の予測される対応
要求に応じた場合、各国の反感を買いアメリカや中東でイスラム国をけん制する各国との国交問題に発展する。また、イスラム国も調子に乗って近隣欧州へ次のカモを探しに行くだろう。さらに、これまでにない巨額の要求であることからその資金が流れれば最悪の場合第3次大戦の引き金にならないとも限らない。要求に応じなかった場合は国民からの非難が政権に集中する。

このように、要求に応じても応じなくても政権に影響がある。とはいえ、人命最優先ながらその要求額は天秤として釣り合わない。日本人の性質上からも一過性のため犠牲をはらったほうが比較的傷は浅いだろう。2004年10月に発生したイラク日本人青年殺害事件によりバックパッカー香田証生さんはアルカイーダに斬首されたがもはや過去のものとなりつあつある。安倍が「テロには屈さない」としている点からも明らかに、要求には応じないであろう。


イスラム国側の反応
身代金要求に対するリターンはほとんどないのが日本である。それと同時に報復を受けるリスクは極めて低い。例えば先の香田さん然り、アルジェリア人質事件然りで基本的に属国頼みでなにもしないのが日本だ。この観点からもわかるとおり、そもそも身代金目当てではない。過去最大額の要求額を設定している点からも明らかに開戦の狼煙、見せしめのためだけの行為だと見受けられる。

一方でタイムラグの発生するインターネットを通じての要求だ、タイムリミットは守られることはない。察するに恐らくすでに殺されているだろう。仮に彼らに多少の慈悲があり、日本も救出を試みたとして、そのエージェントがジャック・バウアーだったとしても生還の可能性は極めて低い。


▼私が最も腑に落ちない点
人民解放や撤退要求といったこれまでの人質事件と違い金が要求目的。ただし、彼らは基本的に金を得ても使える立場ではない。ロンダリングしなければ使えないし、ロンダリングしたらしたで足がつくのだ。また、なぜ時期を待ったのか?  8月に1人、11月に1人でも良かったのだ。そもそも選挙すらわかっていたかのようなタイミングの計り方ではないか。複数の意見が新聞等で飛び交うもののイスラム国の本当の狙いが全くわからなくなるのだ。

本当に身代金だけが狙いなら、なにもTwitterで「ズワイガニ」「濁点の付かないロボをあげていく」とかのハッシュタグ付きで拡散する必要性がない。放送網等を使わないのはわかるにしたって、方法はいろいろあるのではないだろうか? 
アクセスログが残るTwitterYouTubeを使うよりも国際電話やインターネットを通じてプロトコル偽装のうえ直接政府に連絡を取ればいいものをどうして?

イスラム国側からすれば利用価値の低い2人だ。ローリスクローリターンの国を相手にタイムラグすら発生するネットで「72時間」なんて制限付きで拡散するのもちゃんちゃらおかしい行動だと思うのだがいかがだろうか?

私は、湯川氏と後藤氏の神々の遊びなんじゃないかと思っている。

日本から見ても本来、2億ドルの価値はない2人だろう。支払えば政権批判、
これはイスラム国に加担しようとする日本人2人の神々の遊びなんじゃないか?